花丸木蓮の 漫画、本、音楽、あれやこれや

80年代が青春時代だった子持ちおっさんのブログです。

村上春樹さんの「ノルウェイの森」

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写真は姉の買った初版本ですので、はじめの帯はこのような色だったのです。

しかし作者の知らないうちに金色の帯を付けられて、クリスマスカラーのイメージにされてしまったのでした。

帯に「100パーセントの恋愛小説」とありますが、これは春樹さん自身が考えたコピーだそうです。

春樹さんは「これは100パーセントの村上春樹のリアリズム小説」と書きたかったそうです。ですが、そう書いても誰も読まないだろう。青春小説という言葉は余りにも手垢がついている。そうすると「恋愛小説」という言葉しかない、と。

また、あんなに売れると分かっていたら「恋愛小説」という言葉は使わなかったとのことです。

春樹さんはデビューからずっとリアリズムでない文体で小説を書かれていたので、このコピーになったようです。

 

売れに売れてしまったせいか、僕の周りにも結構、読んだ人がいて、多くの人が性的な表現に拒絶反応をしめしていました。

しかし、村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」とか、海外も含めた他の多くの純文学作品では、この程度の性的表現ってよくあるものだったので、もしかして普段あまり純文学系の小説を読まない人が、話題になっているからとか、表紙につられてとかで読んでショックを受けたのかなあと思いました。

 

僕が読んで新鮮だったのは、それまで僕が読んでいた漫画や小説等では、学生運動をわりと肯定的に(というか誇りに思っている、というように)書かれているものが多かったのですが、ノルウェイでは、否定的な面が多く書かれていたことでした。

第4章で、大学解体を叫び、バリケード封鎖した連中が、ストが解除され講義が再開されると、いちばん最初に出席してきたのはストを指導した連中だった。どうしてストをつづけないで講義に出てくるのか、と訊いたが、彼らは答えられなかった、とありますが、これは春樹さんが実際に体験したことのようです。

糸井重里さんとの対談集で、春樹さんが言っていたのですが、

ボクは早稲田だったんだけど、全共闘で、ストをやれってアジってたヤツがいっぱいいた。ところがスト解除になり授業が強行再開されたとき、最初に出てきたのが彼らだったんだよね。頭にきて彼らに「何で授業にきたんだ」と聞いたら「今でもストが正しいと思っているけど、オレが落第すると田舎のオフクロが泣く。そうするワケにはいかないから・・・・」

それを聞いたとき、ボクはもう何も信用するまいと思った。

そして、

クラスの圧倒的多数は「母親が泣いてしまうから・・・」で納得したワケ。それが社会なんだよね。そのとき、ボクはあんまり関わりたくないと思った。

(中略や文をまとめた箇所あり)

 

もちろん「ノルウェイの森」は学生運動だけが書かれた小説ではありません。いろいろな読み方で楽しめる小説です。

好きなシーンはたくさんあるのですが、ワタナベ君が緑のお父さんにキュウリをたべさせるところが妙に心に残っています。

 

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